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ベリータイムにメロロン☆2

もう…それは一目惚れとしか言えなかったんだ。
あの時出かけてて良かったって心底思う。
だって外出してなかったら、あの苺畑のとびきり可愛い果実には会えなかったんだから。







来週会いに行く、って文に書いたら、
丁寧なんだけど震えた文字で「お待ちしております」
って返事がきて、何だか嬉しくなった。
心がこそばゆい感覚。
その日は明日に迫ってるから俺は外に出た。
外には莫大な広さのメロン用ビニールハウス。
ビニールハウスには管理をしてくれている役人さんがいて…

「しょ、翔太王子!?どうしたんですかわざわざ…」
「ん?メロン見に来たんだ。一つ貰おうかと思って」
「そんな事…!!わざわざ出向かれなくとも私共が届けに伺いますのにっ」
「え!?良いってそんなの。そんな遠くないし、俺とりに来ますよ」
「そ、そうですか…」
俺はビニールハウスに入る。
以前はマスクメロンをあげたから、次はクラウンメロンにしよう、とクラウンメロン用のビニールハウスへ。

メロンの香りなんてこの国では当たり前の如く立ちこめるのに、
ビニールハウスの中はその香りが一層濃い。
この国の人が一生懸命に作ってくれたこの果実が俺は好きだ。
そして国の王子は一番美味しい実を見利きする事ができる…
俺は一番美味しいと睨んだメロンを見つけて、
役人の人に了承を頂くと丁寧にハサミで蔦を切った。

「爽子…喜ぶかなぁ」





翌日。
ストロベリー王国にたどり着くと、甘い香りが俺の体を包む様に香る。
メロンとは違う、甘酸っぱい香り。

あぁ…
爽子の国だからかな。
俺、好きだなぁ。
この匂い。

国の出入り口である門の前には、出迎えてくれる為に来てくれた爽子の姿。

「しょ、翔太…王子…。本日はえんど遙々起こし頂き、大変喜ばしく思います。」

お姫様らしい、スカートの両端をつまみ上げたお辞儀。
昔からの馴染みである林檎国のちづや、桃国のあやねには…
はは。
見られないよな。

「爽子、堅苦しいのはナシ。俺は爽子と仲良くなりたいんだよ?爽子は違う?」
「ち、違わないですが…」
「うん。じゃぁ堅苦しいのは辞めてよね」
「は、はい…!!!じゃぁ。翔太王子、お久しぶりだね」
「うん」

苺のお花みたいにぱぁっと笑う爽子。
俺は嬉しくなって、同じ様に笑った。
爽子に誘われて普段アフタヌーンティーで使われる間じゃなく、爽子の部屋に通される。
部屋の窓の向こうにはバルコニーがあって、ロココ調のチェアとテーブルが用意されている。
「今日はね、スコーンを焼いたの。それとストロベリータルト。翔太王子はスコーンは大丈夫?」
「勿論!てか俺、基本食べれないのないから。それに爽子が作ったものならなんだって食べるしっ」

チェアに腰掛け、用意された食べ物を見る。
スコーンの隣には苺ジャムと生クリーム。
言われなくても爽子の手製だと分かった。

「うまそー!!食べてもいいかなっ」
「も、勿論っ」
「じゃ、いっただきまーすっ」

爽子の作るモノはなんだって美味しい。
ストロベリータルトのカスタードクリームなんて、バニラビーンズがいい味だしてるし、
スコーンだって苺ジャムとの相性抜群だ。

「あ、そうだ。これ、俺ん所で取れたメロン!!良かったら食べて」

俺は思い出したように昨日とったクラウンメロンを差し出す。

「うわぁ、ありがとう…!!翔太王子のメロン、凄く好きなの…」

赤らめた顔がかわいくて、こっちまで嬉しくなる。
可愛い。
本当に可愛いな爽子は。


「そっか!そりゃ良かった。それにしても…爽子、いつになったら呼び方直るの?」
「へ?あ…あぁ!!!しょ、しょ、翔太…くん」

聞けば爽子と俺は同い年。
だからわざわざ社交事例の様な呼び名は止めて、同い年相応の言い方で名前を告げてもらいたかったりする。
いつしかそう伝え、それでも照れが生じるのか恥ずかしそうな爽子がいて。
その姿が可愛いから見ていたい気持ちはあるけど…
でもやっぱり、王子なんて本当は呼ばれたくない。
まぁできたら呼び捨てが良いんだけど。

俺は名前を呼ばれた事が嬉しくって、頷いてから話しを変えた。

「そう言えば爽子、今度ある親睦会来るの?」
「あ…そっか。来月あるんだよね」

いつも親睦会には顔を出していなかった爽子。
その理由は周りを怖がらせてしまうからという爽子の思い込みであることが分かった。
俺としては爽子と会う回数は出来るだけ増やしたい。
だから身を乗り出してみた。

「行こうよ」
「!!…えっ?」
「爽子がきたら俺嬉しいし、それに他の国の人達だって同じだと思う。だから…行こ?」

ちょっと強引すぎかもしんない。
けれどこれが俺の真っ正直な気持ちだから爽子に伝えたかった。
俺が尋ねたらちょっと吃驚はしたけれど、次に見せてくれたのは恥ずかしそうに俯く表情だった。

「…うん。行きたい、な」
「うん!!行こうっ」

いい答えが聞けて嬉しくって、再びスコーンにジャムをたっぷりつけて頬張った。

「…あ、翔太おっ…くん、」
「ん?」
「えっと…ちょっと失礼します」

爽子が何かに気付き、その何かに手を伸ばす。
伸びるてはこちらに向かってきているんだけど…

「え?」

俺は一瞬だけ固まってしまった。
爽子の綺麗なしなやかな手が、俺の頬に触れる。
指の腹で拭われたのは今まさに口に運んだジャムだった。
どうやら頬張りきれなくってホッペに付いてしまったらしかった。
爽子はそのまま、指についたジャムをためらいもなく口に運ぶ。

「えぇっ!?」
「…え?」

どうやら今の行動に何の疑問も持たなかったらしい。
流石箱入り娘というべきなのだろうか…って。照れてるの俺だけだし。
なんだか余計恥ずかしい…

「あ、えっと…ねぇ爽子」
「はい」
「今の、誰にもしないでね」
「え?あ…うん、分かった」

-――――あぁ、もう。意識してるの俺だけみたじゃんか。

俺は熱くなった顔を隠す様に俯いて、紅茶を啜った。

(ほっぺに触れちゃだめだったのかな)

なんて別の勘違いを生み出している爽子の脳裏なんて知る由もなくって。
今日も俺にとって幸せな時間が過ぎてく。

…ん?俺だけ?
爽子は違うんだろうか。
こういう風に思ってるの、俺だけなのかなぁ…
あわよくば同じ気持ちであってほしい。
そう思ってしまうのは欲深い事なんだろうか。
でも…同じであってほしくって。

「?翔太くん…??」

爽子の顔をじっと見た。
小首をかしげる可愛い彼女。
苺の様な小さな実みたく、顔のちっちゃな爽子。
指先に施された綺麗な苺色のグラデーションが綺麗で。

「ねぇ爽子…」

俺は彼女の心の奥底が見えないかと、そのビー玉みたいな瞳を覗き込んだ。
それでも無邪気な顔が俺の顔を純真にまっすぐみてくれる。
あぁ、俺みたいに邪な心が無いその心に敢えて触れてみたくもなるんだ。

先程の爽子の行動が伝染したかの様に、俺はその顔に向かって手を伸ばした。
その行動に気付いた彼女は、ちょっとだけ目を見開いた後自分の手で頬に触れるんだけど…
違うよ、そうじゃない。
爽子の顔には何もついてないよ。

そう言ってあげたいんだけど、でも…やっぱり見つめるままに。
おれは頬に触れた。

「あ!」

途端、声を上げる彼女。
俺は触れたことによる驚きなんだって思ったんだけど…

「忘れるとこだった!」

彼女は俺の手の存在を知らぬ様に、ガバッと立ち上がると部屋の奥底に言ってしまった。
ある意味彼女が立ち退いたことで払われた俺の手。

-――――え、えぇぇぇぇ!!??

行き場の無い手をひっこめるわけにもいかずどうしたらいいか分からないでいると、
その手には一枚の紙が渡される。

「…え?」
もうどうしたらいいかわからず、紙を渡す爽子を見るんだけど…
やぱり先程の行動にはこれっぽっちも気づいていないようで、
このショックな気持ちを悟られたらどれだけ格好悪いかと思い、俺は黙って紙を広げた。
そこには予期せぬ内容が記されていて…


『風早へ。
あんたいくらうちらの爽子が可愛いからって、盛り中の犬みたく手だすんじゃないわよ。

あやね』


「…はぁぁ!?あ、あやねって!!」

用紙にかかれた差し出し人の名前の横には、その国の象徴となる桃のマーク。
いや、それ以前に!!

「爽子、あやねと知り合いなのっ!?」
「え!?う、うんっ…知り合いというか…お、お友達、なのっ!」

一層顔を真っ赤に染め上げて爽子は言ってくれた。
あやねと友達ってことは…もしかしてちづるも?
いやそうに違いない。あの2人仲いいし…
いや、それよりもっ…!!

「う、わーーーーっ!あいつら俺と爽子が既に知り合いって知ってたのかよっ」
「…え?知り合い??」
「ん?」

テーブルに突っ伏したい気持ちで顔を伏せてたら爽子が眉根を顰めながらそう尋ねてきた。

「わ、私翔太君とは…その…友達だと思ってたのだけれども…
話、私だけだったのかな、うぬぼれてたの…」

その表情はとても悲しそうで、表情の理由が分かったからこそ俺は焦り出す。

「わー!ゴメン!違うって!その…爽子は、俺にとって大事な大事な…と、友達、だよ」
「ほ、ホント!?」
「うん、ホント。」

…友達…か…。
何ていうか。
まだ友達なんだなっていう残念な気持ちが俺の中にはあるんだけれど。
でも俺が肯定することで爽子は苺の白いお花みたいに可愛く笑うもんだから、今はそれでもいいかなって思ってしまう。
今は…今は。



それにしても…・




あぁ~~~~次の親睦会、行きたくない。
ぜってーあいつらに茶化されるにきまってる!!!

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