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25.桜色 砂輝さま



色の少女




――また、この季節が来る。



ふと、空を見上げて。
舞い散る花弁に面影を見付けて、足を止める。


あれは、もう二年前。


未だに鮮やかに、まるで写真のように心の中にある光景。
今振り向いたら君の幻を見るかもしれない、なんて思う程に。


『…北幌高校だとしたら、こっちです』


そう教えてくれた君に礼を言って、歩き出した。
あの時、振り向いた事に特に理由は無い。
ただ何故か、まるで舞い散る花弁に誘われるように振り向いて。
そこに在ったのは、その光景の中に淡く溶けてしまいそうな君の笑顔。
その後、君を知る度に振り向いて良かったと心から思った。


「…か、風早くん?」


え、と丁度思い出していたその声を聞いて驚いて振り向く。
そこには、柔らかな風にその長い髪を靡かせてその少女が立っていた。
まるで、あの日と同じように。


「お、おはよう」


笑う笑顔も、記憶のままで。
違うのは、あの日見送るように立ったままで居た君がこちらに近付いてくる事。


「あの…風早くん…?」


返事をしない俺にどうしたのかと黒沼は首を傾げる。
そこで、はっとなった。


「あ、ごめん!おはよう!」


慌てて挨拶をすれば、応えるように君はふわりと微笑む。
本当に今目の前に居るんだ、なんて思いながらじっと見ると今度は不思議そうな顔をする。


「どうかしたの?」
「ああ…うん。ちょっとびっくりした」


頭を掻きながら、視線を上へと向ける。
満開の桜と、風に揺れて舞う花弁。
二年前も、去年も変わらない桜の並木道。
去年この道を通った時に思い出したのも、やっぱり君の事。
あの時は、君と同じクラスになれれば良いと期待と不安だったっけ。


「丁度さ、初めて会った時の事思い出してた」


あ、と黒沼も桜を見上げる。
そう、丁度この別れ道。
二年前の入学式の日、ここで初めて君に出会った。


「そしたら黒沼が居るから、びっくりした」


はは、と笑うと君はほんの少し頬を染めた。
そんな君の表情に、俺は目を細める。


(あ、おんなじ色)


辺りを優しく染める、桜の色。
ほんのりと染まるその色は、舞い散る花弁と同じ色だ。


「わ、私もね」


なに、と続く言葉を待つ。
何時だって頑張り屋な君が、ゆっくりとでも一生懸命に伝えようとするから。
俺は考えなしに喋っちゃう方だからかな。
余計に、こんな瞬間が好きなんだ。たぶん、それも君だからなんだけど。


「桜、見てて…初めて会った時の事、思い出してたの」


向こうの角を曲がって歩いたその先で、立ち止まっている背中を見付けた。
困っているのかな。でも恐がられるかな。
そう思いながら、声を掛けて。
返ってきたのは、お礼と共に眩しい貴方の笑顔。


『ありがとー』


あの笑顔が、貴方の言葉が何時も私に力をくれた。
同じ時間に、同じ場所で。
二人とも同じ事を思い出していたんだ、と思うと少し恥ずかしくなったけど。
貴方が笑ってくれたから、私も気持ちのままに微笑んだ。



はいと手を差し出すと、君は首を傾げる。
本当にまだ慣れないんだな、こういうの。
念願叶って君と付き合い出して、それなりに経つんだけど。
伸ばした手で、そのまま君の手を取って繋ぐ。


「このまま行こ」
「え、あ…このまま?///」
「そ」


理解した君は人目を気にしたのか、辺りを見回す。
気にしなくても良いと思うんだけどなー。
まあ、そういうとこも可愛いんだけど。
それに少し早いから、人通りそんなに無いし。
ま、居ても離すつもりは無いんだけど。
行こうと手を握り締めると、頬を染めながら君は頷いた。


(あ、またおんなじ色)


まるで小さな幸せをかみしめるような、そんな顔も好きなんだ。
りんごのように真っ赤に染まる君の顔も、勿論好きだけどな。


君と居れば、この桜の花びらのように小さな幸せが舞い降りてくる。
桜の季節は今だけだけど、俺の中には何時だってあの光景があるのだから。


ほんのりと染まるその色は、舞い散る花弁と同じ色。


あの日とおんなじ、俺の記憶そのままに。


――桜色の、俺の大切な女の子。






春!桜!春っぽいー!
やっぱりこのネタってすごく一番ってかんじがするんです。
2人の出会いのバショ!風早のスイッチを作った場所!
手繋いでなんてしたらもう茶化されるのにきまってるのにねWw
むふふW砂輝さんありがとうございまーすWw

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