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それぞれのバレンタイン ④(嬉々さま)

『それぞれのバレンタイン ④』

「あーもう!
龍のやついつ帰ってくんだよ!」

千鶴は龍の家で
龍が部活を終えて帰ってくるのを待っていた。

今日学校の家庭科の授業で作った
バレンタインのチョコを
一刻も早く龍に渡したくてたまらなかったからだ。

千鶴が家庭科室からチョコを持ってきた時には
龍はすでに部活に行ってしまっていたため
すぐに渡せなかったのだ。

千鶴は今まで龍のことを
兄弟としか思っていなかったため
バレンタインにはいつもチロルチョコとかしか
あげたことがなかった。

でも今年は違う。
幼い頃から
いつも千鶴のそばにいてくれた龍。

なのに千鶴は龍の兄の徹に夢中で
龍のことなんて
今まで全然頭になかった。

でも気づいたのだ。
自分にとって龍が・・・
龍の存在がどれだけ大事な存在だったかということに。

龍が自分のことを好きなのはわかっていた。
でもそれは恋愛感情ではないと思っていたのだけれど。

あの日
自分の気持ちに気づいて
龍の本当の気持ちを知った。

すごく嬉しかった。
龍の気持ちも
自分の気持ちも。

龍とは幼馴染で
昔からの付き合いだから
付き合うことになっても
なんだか照れくさくて
あんまり彼女っぽいこととか
なかなか出来なくて・・・。

でも今日は。
千鶴は千鶴なりに頑張ってみた。

今年は爽子にチョコの作り方を教わって
手作りのチョコを作って
龍のやつをビックリさせてやるんだ。

そう思っていたら
ちょうどよく今日の家庭科の授業で
チョコを作ることになって
爽子に一生懸命作り方を聞いて作ったチョコ。

あいつビックリすんぞ。
あたしだって頑張れば
爽子みたいに
おいしいチョコ作ること出来るんだい。

早く龍、帰ってこないかな。
千鶴はウキウキ
そしてそわそわしながら龍の帰りを待っていた。

そうしたら
ガラッ
といきなり龍の部屋の戸が開いて

「なんだ、ちづるきてたのか。」

と龍。

「なんだって、なんだよ!
せっかくいいもん持ってきてやったのに。」

龍が帰ってくるのを
ずっと楽しみに待っていたのに
そんな言われ方をしてしまいすねてしまう。

「何?いいもんて。」

ひょこっと龍は
千鶴が後ろに隠してあった
紙袋をみる。

「ちづる、俺になんかくれんの?」

にこっと龍は笑う。
ずるいと千鶴は思った。
今の千鶴は
龍の笑顔に弱いのだ。
そんな顔されちゃったら
さっきの怒りなんて
すっ飛んでしまう。

「はい、これ。
まだバレンタインには早いけど
今日家庭科で作ったから。」

後ろに隠し持っていたチョコを
そっと龍に手渡す。

「さんきゅ。」
と龍。

「これ手作りなんだよ。
今日は龍のために一生懸命頑張ったんだから。」

そう言う千鶴を龍はぐいっと引き寄せて・・・。

「?!」

千鶴から離れると龍は

「・・・・・・。
ちづるも食う?」

と千鶴の作ったチョコを差し出す。

「・・・うん。食う。」

龍からチョコをもらい口に入れた。

「あ、うまい。
ちづるにしては上出来じゃん。」
「あったり前でしょ。
爽子に教えてもらったんだから。
それに・・・
これにはあたしの想いがいっぱい詰まってるんだからね。」

千鶴が作ったチョコは
とても甘くておいしかった。
今の2人の関係のように。


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なんだか「さんきゅ」っていう龍にツボってしまったW
いいですよね龍の笑顔!あのアニメボイスはたまらんとですーーーW