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それぞれのバレンタイン ②(嬉々さま)

『それぞれのバレンタイン ②』

今日の家庭科の授業は
3,4時間目。
テーマはもちろんバレンタイン。
今年はデコチョコが流行ってるとかで
チョコレートのほかに
アラザンやチョコペンとか
いろんなものが調理台の上に並んでいた。

家庭科の授業でチョコレートを作ることになるなんて
思ってもみなかったな。

チョコレートを作っているみんなは
どの子もキラキラ輝いて見える。

みんな好きな人のために
想いをこめて作ってるのかな。

私もお世話になったみんなに
心をこめて作んないと。

「爽子、これ次どうすんの?!」
「えっとそこにあるボールの中に入れて・・・。
そう、そう。」

ちづちゃんも真田くんのために
すごく一生懸命に作ってる。

あやねちゃんも一生懸命作ってるみたいだけど
誰かにあげるのかな?
あやねちゃんの好きな人の話は
ここのところずっと聞いていない。
けど・・・
時折見せる表情が
好きな人がもしかしたらいるんじゃないかなって思わせる。
いつかあやねちゃんが話してくれる日がきたらいいな。

チョコレート作りはあっという間に終わってしまった。
いつもの授業も楽しいけど
今日の家庭科の授業は
いつもにもまして楽しかったな。

みんなが誰かのために想いをこめて作るのを見れたことも
みんなと一緒に作れたことも。

みんなの想いがちゃんと届きますように。

そして私の想いも
ちゃんと伝わるといいな。

みんなにはいつもありがとうっていう気持ち。
そして風早くんには・・・・・・。

去年は渡せなかった。
でも今年は渡せるんだ。
自分の心のこもったチョコレート。

喜んでくれるかな、風早くん。
喜んでくれるといいな。

■□■□■□■□■□

放課後になり
家庭科の授業で作ったチョコを
家庭科室にみんなで取りに行った。

そして教室に戻ってみると・・・

「矢野。
今日女子、家庭科でチョコ作ったんだろ?
矢野は誰かにあげんの?」
「ん?
何、ジョー。
あんた欲しいの?」
「え?矢野くれんの?!」

期待に満ちた目で
あやねちゃんのことを見る城ノ内くん。

「悪い。
あたしはあんたの作ってないや。
でも他の子は誰かあんたの作ってるかもね。」

あやねちゃんにそう言われ
がっくりと肩を落とす。

ところが

「はい、ジョー。
これでよかったらあげる。」

って宮田さんが
チョコを差し出した。

「え、何?!
宮田、俺にくれんの?!」
「ジョー、いつも楽しませてくれるから。」

そう言って宮田さんは
城ノ内くんにチョコを渡すとそそくさと帰っていった。

「え?!
やのちん、知ってたの?
みやっちがジョーに渡すの。」
「まあね。」
「さすがあやねちゃん!」

すごいな、あやねちゃん。
私、全然気づかなかった。

教室を見渡すといろんなとこで
女の子が男の子にチョコを手渡してた。
今日の家庭科でチョコを作るのを
クラスの男子は知っているから
渡しやすいのかも。

「ちづちゃん、あやねちゃん、コレ。」

持っていたチョコを手渡す。

「え、爽子。
うちらにくれんの?!」
「うん。
いつもお世話になってるから。
ちょっと少ないんだけど。」
「風早にはいいの?
待ってんじゃないの、あいつ。」
「あ、風早くんには当日に別なのをあげようと思ってて。」
「そんじゃ、ありがたくもらっとく。
ありがとね、爽子。」
「さんきゅ、爽子。」

「じゃ悪いけどあたし行くとこあるから
今日は先に帰るね。」

それだけ告げるとあやねちゃんは
荷物を持って帰っていった。

「爽子は今日、風早と帰んでしょ。」
「うん。」
「じゃああたしも帰るかな。
じゃあね、爽子。」
「うん、ちづちゃん。
またね。
あ、真田くんチョコ喜んでくれるといいね。」
「そーだね。
せっかくの手作りだしね。」

照れくさそうにちづちゃんは笑った。

可愛いな、ちづちゃん。
・・・大丈夫だよ、ちづちゃん。
真田くんは
きっとすごく喜んでくれるよ。
だって真田くんは
ちづちゃんのこと
大好きだもの。

「さ~だこちゃん。
チョコ風早にあげんの?」

と背後から師匠の声が。

「あ、師匠!
ちょうどよかった。
あのこれ、よかったら。
少なくて悪いんだけど
今日、調理実習で作ったので。」

と振り向いて
紙袋からひとつ出して
師匠に手渡す。

「え、いいの?!
オレ、もらっちゃって。」
「うん。
師匠にはいつもお世話になってるんで。」
「やった!
オレ、1回貞子ちゃんの手作り食べてみたかったんだよね。
貞子ちゃんの手作りはおいしいって
あやねとかみんな言ってるから。」

師匠がそう言った時だった。

「黒沼、俺のは?!」

もう我慢できない!というかのように
風早は言った。

「あ、風早くん。
風早くんには当日に別なのあげようと思ってたんだけど・・・。
これもいる?」

そう爽子に言われ少しホッとする風早。

「いる。
それで当日も・・・もらえるの?
期待してもいいんだよね?
当日ももらえるって。」
「うん。
風早くんがもらってくれるなら。」
「そんなのあったりまえじゃん。」

「・・・ふたりとも
オレがそばにいるってこと忘れてない?
まあ別にいいけどね。」
「あ。」
「あ、悪い。」

風早くんと2人で顔を赤くした後
3人でフッと噴出す。

このクラスになれてよかったな。
風早くんと同じクラスにまたなれて
師匠とも仲良くなれた。

この高校に入学して
風早くんに出逢ってから
たくさんのことが変化して
2年生になり
師匠と出会い
また更に私の環境は変化していく。

これから先も
また変化していくのだろうか?
いいほうに変化していけばいいな。
そう思う。
・・・私、少し欲張りになっちゃったかな。

「黒沼、もう帰る?」
「あ、うん。」
「じゃあな、三浦。」
「ん。
風早、貞子ちゃん、またね。」
「うん。
師匠、また来週。」

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調理実習!うぉー!なんか学生ってかんじだー!
それに我慢できなかった焦太がすごいスキですW