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それぞれのバレンタイン ①(嬉々さま)

それぞれのバレンタイン ①
嬉々さまより。
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今回の作品にはオリジナルキャラが数名出てきます。
それも含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。


『それぞれのバレンタイン ①』




空から静かに
白く綺麗な雪の結晶が舞い降りてくる。
今は2月。
北幌は今日も雪が降っていました。


「ちょ、爽子、やのちん!
聞いた?!
今日の家庭科の授業
バレンタインのチョコ作るんだって!」
「あー。
そうみたいだね。
結構前から噂になってたよ。
ね、爽子。」
「う、うん。」
「え?!
そうなの?!
知らなかった。」


外とは違い
教室の中は暖かく
もうすぐバレンタインなので
みんなはバレンタインの話に夢中です。


今年はなぜか
家庭科の授業でチョコレート作りをするみたいで
いつも以上に教室ではあちこちで
その話題で持ちきりみたい。


「あたしさー、
今年は龍に手作りあげようと思ってて
爽子に教えてもらおうと思ってたから
ちょうどよかったな。」
「そっか。
ちづもとうとう作る気になったんだ。
龍も毎年チロルチョコじゃ可哀想だもんね。
龍、喜ぶんじゃない?
頑張んなよ、ちづ。」
「うん。
そういう訳で頼むね、爽子!
あたしのチョコ作りは爽子にかかってるからね。」


そう言うとちづちゃんは
私の背中をバシンと叩いた。


「う、うん。
期待に応えられるように頑張るよ。」


ちづちゃんが真田くんのために手作りするんだから
少しでも役に立てたら嬉しいな。
胸の前でこぶしを握った手にグッと力をこめる。


「でもさーなんで今年に限って家庭科でチョコ作るんだろ?」
「まあいいじゃん。
楽しめそうだし。」
「それもそっか。
でもさっきさ、聞いちゃったんだよね。
家庭科の河合ちゃんがさ
この学校の先生のなかに本命がいて
チョコあげるんじゃないかって。」
「・・・本命チョコを授業で作んの?
ありえなくない?
いくら自分が家庭科の先生だからって
本命は家で作ってもってくもんでしょ。」


そうは言ったけど
なぜか少し考え込むあやねちゃん。


「それもそうだね。
どうしたの やのちん?
何か考え事?」
「ううん。なんでもないよ。
ちょっとね。
そんなことより
爽子はどうすんの?」
「そーだよ。
風早去年もらえなかったから
今年はかなり期待してるんじゃないの?」
「そ、そうかな。
期待しててくれてるかな。」


去年はあげられなかった。
風早くんへの想いをこめたチョコレート。
気持ちをこめすぎて
あげるのが怖くなった。


・・・そんなこともあったっけと
去年のことをちょっと思い出す。


今年はちゃんとあげたいな。
いつも以上に想いをこめて。


今年のバレンタインは日曜日で
まだ約束はしてないんだけど
直接風早くんに渡したいって思ってる。


風早くん日曜日あいてるかな?
あいてるといいな。


実はもう材料は買って用意してあって
明日作ろうと思ってるの。


今日の家庭科の授業で作るのは
師匠とかお世話になってる人にあげたくて。


風早くんには
去年渡せなかった分
今年は時間をかけてじっくり作りたいって思ってるんだけど・・・。



「おい、こらお前達。
もうホームルームはじまるぞ。
席に着け。」


いつの間にか荒井先生が
背後に来ていて


「あ、そうだ。
お前達 今日チョコ作んだってな。
俺の分もしっかり作っとけよ。」


って。


「なんであんたの分まで!」
「今年はいつでも受け付けてるからな。」


そう言うとあやねちゃんの頭をポンっと軽く叩いて
教壇に歩いていった。


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