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希望の足音(一花さま)

ジャンル:龍ちづ 龍視点




「あー……の、さ」

千鶴がゲームをやりたいと言ったから、二人してゲーム機構えて通信プレイ。
そんな2月のある夜。

不意に千鶴の手が止まって、どうしたのかと目をやった。
言いにくいことがあるように、指先を捏ねくって、視線もどこかきょろきょろしている。

「どうした?」

尋ねてはみるものの、千鶴から聞こえるのは、あーとかうーとか、意味を成さない音ばかり。

「千鶴?」

覗き込むように頭を下げると、千鶴はやっと口を開いた。

「……何が欲しい?」
「は?」

いきなり欲しいものを聞かれても。
誕生日はとっくに過ぎたし、意図がわからない。

そりゃあ欲しいものは千鶴でしかないんだけど。

「だから……っ!」

千鶴は、またしばらくごにょごにょと口ごもったり、首をぶんぶん振ったり、頭をわしわし掻いたりと、混乱した動作を繰り返す。
そしてやがてぽつりと言った。

「…………バレンタイン」

小さくて、聞き取れないほどの呟きに、俺は目を丸くする。

こいつがそんなことを聞いてくるのは初めてだから。


いつも、チロルチョコを数個手渡して「3倍返しな!」と言う千鶴。
3倍にしたって安すぎる金額のお返しに、頭を悩ませながらもうまい棒を送ったりしてきた。

全然ロマンがない、とぼやく千鶴に、そのままの言葉を返したかった、このイベント。
関係ないとまで思ってきた、世間は賑わうそのイベント。

「……なに!」

ずっと千鶴を見つめていたら、こっちを睨んでそう言った。
赤く染めた頬とか、それを向けられているのが俺だとか、理性ががらがら崩れそうな事実たちだが、ぐぐっと堪えて持ち直す。

急いては事をし損じる。
少しでもいい。千鶴の気持ちが俺に向かい始めているとするなら、焦りだけは禁物なんだ。


何せ、俺が欲しいのは、目の前の可愛い生き物なんだから。
間違えると、すぐに逃がしてしまいそうな、攻略がやたらに難しいものなのだから――


「……何でも、じゃ困るか?」

千鶴から貰うものなら何だって嬉しい。

「困る……ホントにないの?欲しいの」


赤くなった顔で、眉を寄せて見てくるから、やばい、自制がきかない。
言ってしまう。

「千鶴」
「ん?……あ、なんか思い付いた?」

俺の欲望は、呼び掛けと捉えられたようで、少しほっとする。
少し、残念にもなる。

「いや、何でもいい、ほんとに。さんきゅ」


これ以上は、本当にやばいと思ったから、俺は千鶴を家まで送った。

自室に戻ると、一人で笑みを零す。

しょーたみたいになってるかも。顔。
どうか明日までに、緩みよ戻れ。






風早とはやっぱり何だか違う、大人な龍だなって思います(^^
自制心のきく大人な、ねWw
でもいつまで続くのかな~(ふふふ)
それがすごくウキワクきてしまってW
ちづちゃんも恋愛初心者マークの初々しさが本当にしゅてきすぎました(><

本当にありがとうございます!
こんなにたくさんの作品、嬉しい限りです~~Ww
はる

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龍もある意味哀れなのか・・w
ものすっごく、大切な事発言してるのに呼びかけと思われてしまうのか!
本誌でさらっと好きだよ言ったときもそうでしたもんね・・・

龍は風よりちょっとだけ大人ですね。
風爽は、付き合ったら風のほうが面倒そうだけどこっちのカプはちづが面倒そうですw