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あなたに伝えたいの 6(雪奈さま)

最後となります。
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『あなたに伝えたいの』♯6(最終話)


♪All cast Side


「私は……風早くんが好き」


「黒沼、…」

風早くんの顔が見れない。

爽子は視界が滲んでいくのがわかった。
だから、風早には絶対に泣き顔を見られまいと、
さらに下を向いた。

「ごめん」

風早が呟いた。

それはどうゆう意味…?
風早くんは私をフッたのかな…。

やっぱダメだったんだよ。
私が風早くんを好きになんかなっちゃいけなかったんだ……



黒沼、ごめん。

風早は心の中でもう一度言った。

俺は黒沼の気持ちに全然気付いてなかった。

バレンタインのチョコを期待してたくせに、
黒沼が善意で俺に寄せてくれる好意だけで満足しようとしてた。

「付き合う」だとか「彼氏彼女」だなんて関係は
黒沼の負担になると思ったから。



でも、

違ったんだね――――…



黒沼の好きも俺の好きと同じと思っていいんだよね……?

君が俺に笑いかけてくれたあの日から
今までずっと、君を考えなかった日はなかったかもしれない。

頑張って輪を広げてる君を喜ぶ一方では、
俺は一人じめしたいと思ってた。

ねぇ、黒沼。
俺も黒沼のこと好きだよ。


「ご、ごめんなさい…っ。
私なんかが風早くんを好きになったら迷惑だよね。
今のは忘れてください!
もぅ、風早くんに近づいたりしないので……」

《黒沼は何を言ってるんだろう?》

風早は困惑の表情を浮かべた。
その表情がいっそう爽子を焦らしているとも知らずに。


『ごめん』

ただ、風早はそう爽子に呟いただけだった。
爽子からしてみればフラれたと思ってしまうのは必然的。


両想いの二人がゆっくりとすれ違って行く……


「黒沼、何言ってるの?
俺は黒沼……好きだよ」

「わ、私、風早くんの言う好きでは
とても風早くんを見れそうにないんです!」

《風早くんを恋愛感情で好きなの。
だから、風早くんが私をクラスメイトとして好きと言ってくれても……》

爽子は風早を見つめた。

風早の表情は困惑の色が浮かんでいる。
明らかに自分が迷惑をかけている!
と爽子は思った。

《風早くんに気を遣わせちゃってるんだ…っ。
傷つけないように友達としては好きだよって言ってくれてるんだね》


《あれ? 黒沼のさっきのって告白だよな?
でも、〝風早くんの言う好きではとても風早くんを見れそうにないんです〟って
恋愛対象としては見れないとゆう意味だよな…?
やっぱ、三浦が好きってことなのか??》

風早も爽子もそれぞれお互いの言葉を大いに勘違いしていた。


好きなのに。


好きじゃないんだ。

と勘違いしてく、
すれ違っていく、


「あー、もう!
ホント見ててムカつく!!」

くるみが声をあげた。

その声に同じ驚きの表情で、同じタイミングで二人は振り向いた。

《なんなのよ。
息ピッタリじゃないの。
告白してフッた女の子の前で好きな女の子に告白するなんて。
風早、バカもいいとこよ。》

「えっ、胡桃沢?」
「くるみちゃん?」

「だいたい、爽子ちゃんはわたしが風早と話してたのに
いきなり告白しだしちゃって」

「はっ、誤解を解くのに必死で…。
とんだ失礼を……!」

「それに、風早!
わたしフッといて、わたしの前で告白するなんてバカ?」

「…ご、ごめん……」

いつになく強い口調でまくしたてられ
風早はたじろくしかなかった。

《しかも、なんかこじれてるしっ!
わたしが何で風早と爽子ちゃんの仲を取り持たなきゃいけないのよ?
何で……。
自分で自分を失恋させてんだろ…?》

「相手を思いやりすぎなのよ。
少しは自己主張しなさいよ!
そんな少しの言葉で、自分の想いが相手に伝わるわけないじゃないの!!」

そう叫ぶのは不思議な感覚だった。


わたしは風早に好きになってほしいのに
何故、真逆のことをしているんだろ??

爽子ちゃんと風早の仲を取り持つようなことを――……

爽子ちゃんなんか大っ嫌い。
風早をあんなに好きにさせちゃうなんて。

負けないと思ってた。
誰よりも風早が好き。
自信もあった。

なのに、全部計算が狂った。
爽子ちゃんのせいで――

終いにはわたしは半分フラれるのを覚悟で
風早に告白なんてしてた。



バッカみたい…っ



だけど、ただ純粋に風早に好きと伝えたかった。

わたしは想いを伝えるだけでいつのまにか満足してしまったみたいだ。


今、願うのは
好きな人の幸せ。


それがわたしの失恋を決定付けることだとしても……。

「ちゃんと、二人で想いを言い合いなさいね?
わたしは帰るから。
じゃーね、風早、爽子ちゃん」

バイバイ。
わたしの恋。

《これでおしまい。
悔いはないから…………》



去っていくくるみの後ろ姿に風早は「ありがとう」と呟いた。

《胡桃沢、なんかいろいろごめん。
でも、俺、悔いないようにちゃんと伝えるよ。
胡桃沢に背中押してもらえてよかった》


「黒沼、俺は
ちゃんと、恋愛感情で黒沼が好きだ」

思い返して見れば、風早は一度も好きなんて爽子に言ったことはないかもしれない。

《いつも、曖昧な言葉ばかり。
その曖昧さに甘えていたんだな、俺は》


《風早くんの好きって………………
私の好きとおんなじ!?》

「私も風早くんが好きです…」

「ねぇ、わかってる」

風早が爽子に聞いた。

「え?」

やっぱ、言わないと
伝わらないんだ。

風早は大きく深呼吸をした。





「俺と付き合ってください」





「…………はい…」





やっと今、想いが通じあった二人。

それが嬉しくて、
手を繋いで二人は歩いた。

同じ歩調で歩いていく。
風早がちょっと恥ずかしそうにして。
爽子がめちゃくちゃ恥ずかしそうにしながら。



「やっぱ、風早が似合ってんのかな?」

手を繋いで歩く二人を教室の窓から健人は見ていた。

手には爽子からもらったチョコの空箱が握られている。

《もぅ…、
いい気がするよ。
諦められそうにはないけど、爽子ちゃんの幸せを壊してまで
振り向かせたいとは思えないからさ》


隣でなくても、君が笑っていられるのが見れればいいんだ。


俺が君に伝えなくちゃいけないのは、

『好き』

じゃなくて



『おめでとう』



だと思う。
今なら爽子ちゃんにおめでとうって言える。

健人はバックをつかむと、颯爽と歩いていった。




♪風早×爽子Side


「か、風早くん…」

少し頬がピンク色に染まった爽子が
視線のやり場に困りながら風早を呼んだ。

まるで、風早くんを直視できません!みたいな感じで…

「黒沼、何?」

「あの…、これ」

そう言って差し出されたのは
ラッピングが可愛くほどこされたバレンタインのチョコだった。

「~~~~…っ」

自分のいつかの妄想と現実がかぶってしまい、
風早は頭をかかえたい気持ちになった。

《俺はなんで、あんな妄想を…っ。
黒沼の唇に――――…
ちょ、まっ、タンマ!!!
付き合い初めて5分で……それは…ダメだろう、俺っ!》

爽子の差し出した物を見ようと視線を下ろすと
普段通り、長めの制服のスカートを爽子が履いてくれていて
すこぶる安心した。

《黒沼が制服でよかった》

「風早くん、私のワガママを聞いてもらっていいですか?」

「え、黒沼?」

風早はまたイケナイ方へ思考回路がもってかれそうになる。

《私のワガママって……
何だよ? く、黒沼ぁぁっ》


「はい、あーん……っ」

爽子がチョコを風早の口元に運んだ。

風早はそれをパクッと食べた。

《やっぱ、そっちだよね》

食べながら風早はそう思った。

風早は妄想でも、現実でも
期待を裏切られたことに少しヘコみたくなった。


《わぁっ。風早くんに「あーん」ってしちゃったよ!!》

爽子は嬉しいのと同時に
チョコを口に入れる時に指が風早の唇にあたったことが
どうしても恥ずかしかった。

《風早くん、嫌じゃなかったかな…?》

「黒沼…、」

「はい」

《風早くん顔が赤いような……。
って…、わっ! 何??
か、風早くん!?》

爽子は風早の腕の中にいた。

さっき、指で触れた唇がすぐそこに……っ!

しかも、だんだん近づいてきてるっ。

焦った爽子は反射的に目をとじた。


そして――…


風早からキスをもらった。



唇ではなく、




おでこに。


目が合うと二人はハニカミながらクスッと笑った。


end.


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最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

誤字脱字等があり読みづらかった箇所が多々あったと思います…。
ホント、お疲れさまです。


ラストシーンは迷ったんですが
やはり、おでこにちゅーでしたWw

風早は妄想で暴走したので、最後くらいは自重してもらいました。

付き合って数分でちゅーしちゃう尻軽な男だと
そんな男に惚れた爽子がかわいそうかなと思い……


最後にもう一度。

読んで頂いてありがとうございましたm(_ _*)m



以上。雪奈さまより6話に続く長編作品をいただきました!
漫画とはまた違った内容が見れてこちらとしても凄くドキドキしながら
リアルタイムでみさせていただき光栄でした!
大作ありがとうございます!
皆のキャラが本当に生かされてて勉強にもなりました(><

はる

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