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Love is being stupid together 6




この日の為に新しく買ったケーキ型は
見るたびに恥ずかしくて、ちゃんと作れるのか心配だったけれど
この形になれるためにも行った日々の練習も決して無駄ではなかったようだ。

甘さを控えめにしたビターチョコレートケーキは
焦げ目も無く、きれいなチョコレート色と
かぐわしい香が鼻腔をくすぐる。

枠のストッパーをはずすとカチャリと音を立てたそこからは
カカオ色のハートを模っていた。

あら熱をとった後に軽くまぶした粉砂糖が
北幌のパウダースノーのようでとてもきれいだった。


 ―― 食べてくれるといいな...。


きれいにラッピングした水色の包みを前に
爽子はエプロンをはずし、ほっと一息つくと
自分の握りこぶしほどのハート型ケーキの包みを鞄へ納めた。


携帯を片手になれない手つきでメールを打つ。
送信先は風早翔太だ。


2月14日日曜日。


日本全域が休日の今日。
平日、学校に行けば当たり前のように
クラスで合える、親友達も、このたび晴れて恋人同士になれた
風早翔太ともこちらからなにかしらアクションを取らないと

思いを込めたチョコレートを手渡すことどころか
会うことすらできないと気づいたのはつい先日のことだった。


メールを打って3分後。
直ぐに翔太からの返事が来た。


 ―― 待ってる! 翔太


チョコレートのことは明かさず
今日会うことは出来ないか?との問い合わせに対して
直ぐにもらえたOKの返事に爽子は胸が躍った。


自分の心臓ほどの大きさで
思いを込めたケーキ。


もらってくれるかな。
食べてくれると嬉しいな。


身支度を整えると爽子は
意を決したように家を後にした。



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