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あなたに伝えたいの 4(雪奈さま)

続きです(^^





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『あなたに伝えたいの』♯4


[バレンタインデー]


♪爽子Side


ドキドキしながら爽子は登校した。
風早がどんな反応するかは健人に言われて考えないようにしていた。

ただ、風早くんが好きだという事実が嬉しいの。


届け。


私の想い――――。


「よし…っ。ちゃんと人数分ある」

席に着くと忘れ物がないか、爽子はチェックした。

あやねや千鶴の分のチョコに混じって
2つだけ丁寧に明らかにすごく特別な人ようのラッピングがほどこされた
チョコがバックに入っていた。

「師匠の分と…………風早くんの分…。
わー、恥ずかしいな」

自分で言っときながら、自分で赤面してしまう。

「「爽子、おはよー」」

あやねと千鶴が教室へ入ってきた。

「…お、おはよう」

「なぁに、怖い顔しちゃって」

少し呆れたようにあやねが言った。

「だって、緊張が……。
ちづちゃんはもう真田くんに渡したの?」

「おー、渡した、渡した。
恥ずかしいから、朝に龍ん家まで届けに行った」

「ちづでも、好きな人にチョコ渡すとなると恥ずかしいんだ?」

「学校で渡せるかっ!
龍、いっつも席で寝てるから渡しずらいじゃん。
それに……ほら、恥ずかしいじゃん…?」

最後の方は千鶴の本心がそのままできてしまっていた。

《渡すタイミングとか全然考えてなかったな。
風早くんみんなに囲まれてることが多いから…
いつだったらいいのかな。
そんなこと考えてなかったなんて私、軽率だったなあ…》

「あ、風早~」

爽子の気も知らず、千鶴が風早に大きく手を振った。

風早という言葉を聞いて反射的に風早の方を見た爽子は――…

「……っ!」

バッチリ風早と目があった。

「黒沼、おはよ」

「…かっ……風早くん、おはよ」

《ダメだ。
風早くんを直視できませんっ!》

「くーろぬま」

「は、はいっっ」

爽子の声が裏返った。

「…?」

風早は不思議そうに首をかしげた。

「あの…、俺なんかした?
黒沼を驚かすようなことした?」

「いっ、いえ。
全然。全く。風早くんは悪くないです」

「…そお…?」

まだ多少疑問点が残るものの風早は自分の席へ着いた。
とたんに、ジョーを含めたクラスメイトに囲まれた。

《うわぁー。
私ってば意識しすぎだって。
風早くんに変に思われちゃうよ》

告白する決心をつけて、
大張り切りでチョコを作って来たのに、

…いざ、告白となると
自分の思った通りに言葉にできるか不安だった。

風早くんに伝えたいだけ。
それだけなのに……、

なんでかな。
胸が痛いよ……。




♪健人Side


心なしか、歩調が早くなってしまう。

ダッセーなとは思うけど、この日が楽しみだった。

――お礼に…、――

あの日の爽子に投げかけた言葉を健人は頭の中でリピートした。

《ほんと、ダッセー。
しかも待ちきれなくて自分から受け取りに行っちゃうなんて》

擬似バレンタインなんかを自分で図って
それを楽しみにするなんて、自分でも笑いたくなる。

だけど、爽子へと進む歩調はどんどん早くなる――

「貞子ちゃーん」

廊下から、教室にあやねと千鶴と一緒にいる爽子を呼んだ。

声に反応した爽子が顔をあげるのが見えた。

あの日とは違い、一回で自分の声に気付いてもらえたことに
少なからず嬉しさを感じた。

「師匠!
ちょっと待ってください。
今、そっち行きます」

バックをがさごそとやり、かわいいラッピングのついたものを爽子が手にした時は
飛び上がりたいくらい嬉しい気持ちでいっぱいになった。

「ちょっと、いい」

と、場所変更を求めると爽子は素直に頷いた。

二人は誰もいない渡り廊下まで来た。

「師匠、これ約束の。
先日はありがとうございました」

律儀にお辞儀をし、チョコを手渡す爽子に
健人は抱きしめたい衝動にかられた。

《爽子ちゃん、俺のわがままに嫌そうな顔しなかったね…。
爽子ちゃんはそんなことしないだろうけど、
冷たく突き放してくれた方が楽だったかもしれない》


もう、

君を

諦めるなんて

できそうにない――。


「ありがと。
おいしく食べるわ」

何事もなかったように健人は礼を言った。


もし、本気で好きなら
好きなら……



その子の幸せが一番だよね?



だから、引きとめるつもりはない


……はずなのに。

「貞子ちゃん、まだ行かないで」

「えっ? 師匠??」

健人は爽子のブレザーの袖口をつかんだ。
爽子に直接触れるのはいけない気がして。
ブレザーのはじっこ。

「ごめん。言い訳させて」

「言い訳……?
師匠は何も悪くないのに、言い訳!?
チョコはお礼です」

気にしないでください、と爽子は言った。

「違うんだよ…」

違うんだ。爽子ちゃん。
ホントに言い訳なんだ。

風早と爽子ちゃんの仲はやっぱ応援できないかもしれない。

だから、後で後悔しないように、
行かないでと爽子ちゃんを引きとめたという事実を作っていたいんだ。

後になって、
爽子ちゃんが風早と並んで歩いてるのを見て、
後悔しないように。

やれるだけやった。
しょうがなかったんだ。
そう諦められるように。



――引きとめた――



その事実だけがほしい。
君の幸せを壊すことは君を好きすぎてできないから。

でも、自分の大切な恋を何もせず
諦められるのもできないから。

言い訳させて。

引きとめたんだ。
でも、爽子ちゃんは風早の元へ行ったんだ。

そう、言い訳させて。

「ごめんな?」

健人は困った顔をしてるであろう爽子を直視できず、
目も合わせないようにその場を去った。

きょとんとした爽子を置き去りにして…。



「三浦ぁ」

誰かに呼ばれた。

あー…、名前なんだっけ?
女子の名前覚えるのに専念しすぎて男子の名前全然覚えてねぇ。

たしか、いつかの何かで一緒になった――――…
誰…?

「ん、何?」

まさか、名前わかんないです、なんて言えるわけもなく
健人はテキトーに取り繕った。

「おまえ、貞子とデキてんの?」

声のトーンを落としてそんな質問をそいつはしてきた。

「ばっか…、おまえ、何で?」

どうしようもなく赤面してしまう。

「やっぱな! そうだと思った」

健人の赤面の真意を取り違え、
そいつは一人で納得しはじめた。

「いやぁ、さっきチョコもらってんの見ちゃってさ。
明らかラッピングが本命用だったでしょ?」

《さっきの渡り廊下には誰もいなかったはずなのに…っ》

健人は軽く目眩がしてきた。


どうしよう?


女子にモテモテの三浦 健人が陰気で有名な黒沼 貞子とデキてたなんてニュースは
噂になるにはうってつけで…。

学年中にその間違った噂が広まったのは言うまでもない。


どうしよう?

爽子ちゃん、どうしよう!?

ごめんっ――――…。



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うわー。凄い展開ですね!
きっと風早くんが黙ってないんだと思いますー!
てか絶対そうですよね!
でも困難を超えてこそ愛は深まると思うんです!(><
なんだか2人に応援したくなっちゃいますー!



はる

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