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あなたに伝えたいの 2(雪奈さま)

続きとなっています(^^







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『あなたに伝えたいの』♯2


♪爽子Side


険しい顔をした千鶴が、教室に入るなりつめよって来た。

「あ、の…っ、ちづちゃん!?」

「爽子! やのちん!」

「は、はいっ」 「何よ?」

「もうすぐバレンタインだよ!
それで相談なんだけど、何作ったらいいと思う??」

「祭りにしか興味を示さないあんたが急にどうしたの?」

「失礼だなー。
バレンタインだよ、バレンタイン。
恋の祭りじゃないか!
あたしがチョコを渡さなくてどうするってんだ」

「ちづちゃん、チョコ渡すの?
お、大人だなあ…」

「爽子は風早に渡さないの?」

ニヤニヤしながらあやねが言った。

「わっ、私が風早くんに!?
それは無理というか、おこがましいというか…」

手をぶんぶん振って、これでもかと拒絶した。

「爽子、風早が好きなら渡すべきだよ?
風早、好きじゃないの?」

「す……、好き…だけど…」

「じゃあ…」

「やのちん、あたしの話は?
相談してんのあたしなんだけど」

千鶴があやねの話を遮って、身を乗り出した。

「あー…、ごめん。
つい、爽子の恋ばなの方に…」

「あたしの話は、どうでもいいのかよぉ~」

「てか、誰にチョコなんか渡すの?」

「えっ…?」

明らかに動揺し、顔が真っ赤になってく千鶴を見て
あやねはひらめくものがあった。

《ふうん。ちづが龍にね…
恋の祭りだからって言うのはただの口実だったのね》

「まっ、二人とも頑張んなさい!」

「へっ!? や、やのちん?」

「ホント応援してるよ。
龍と――…」

「わあぁっ。何で?
何でわかったの?」

一人焦る千鶴を後目に爽子は
風早のことを考えていた。

もし、風早くんに私がチョコを渡したら…
あれ…? 告白ってことになるのかな?

私、そこまでじゃなくていいのにな。

風早くんに好きって思われたくないわけじゃないけど、
私が風早くんを好きでいられるだけでもう十分なの。

好きって
言う。言われる。
なんて現実味がなくて。

――…遠い、遠い大人の世界みたい。


風早くんが好き。


ただ…………それだけ。


爽子は一日中バレンタインについて考えていた。

恋。恋愛感情。
そう気付くまで決して早くなかった爽子にとって
告白とは未知数の領域だった。

《私が風早くんを勝手に好きなだけであって…、》

「貞子ちゃん?」

三浦 健人が爽子に声をかけているのだが
爽子は全く気付かない。

《風早くんがもし、…もし、
…………私のこと好きじゃなかったら…?》

「さーだこちゃん!」

《あぁ、どうしよう!
もし、そうだとしたら……風早くんに迷惑をかけてしまう!!》

「貞子ちゃん!」

健人が爽子の肩をむんずとつかんだ。

「ひゃっ…」

突然のことに小さく爽子は悲鳴をあげた。

「あ、ごめん。ビックリした?
貞子ちゃん、呼んでも気付かないんだもん」

「はっ、」

やっと爽子は今、我に返った。

「し、師匠! わー、すみません
全然、気付かなかった……っ」

「別にいいよ~
それより、ボーッとしてるなんて貞子ちゃんらしくないよ。
何か悩み?」

「悩みとゆーか…、なんとゆーか……。
人に話すにはくだらないことなんです。
私には重要…なんですけど」

頬をピンクに染めながらしどろもどろになる爽子を見て
健人は小さく笑みをうかべた。

《爽子ちゃんは、ホントにホントに素直だね…》

「好きな人のこと…?」

「…っ!?」

図星をさされて、爽子は口をパクパクさせた。

「バレバレだよ」

「私、そんな顔してました!?
つい、上の空にっ。気を引きしめねば…」

「いやいや、そうじゃないよ。
女の子はこの季節はみーんな好きな人のこと考えてるもんだよ」

爽子は健人の言葉に千鶴が思い浮かんだ。

《ちづちゃんの好きな人は
真田くんのお兄さんだけど――…
真田くんのこと気にしてるみたいだった》

「悩んでもしょうがないと思うよ」

「え?」

「告白するか、しないか悩んでるんでしょ?
相手の気持ちなんて、自分がわかるわけないじゃん」

「…?」

「告白された相手がどう思うとか考えたってさ、
結局は〝貞子ちゃんが〟相手の気持ち考えてるじゃん?
いろいろ考えたって本人しかわからないこととかあるし」

《風早くんにしかわからない、風早くんの気持ち――…?》

そっか。
簡単なことだったのかもしれない。

私は風早くんが好きです。
風早くんはどうですか…??

その答えは――


きっと、



風早くんしか知らない…。



「師匠! 私、余計な心配してたのかもしれません」

「ね、そうでしょ?
貞子ちゃんは笑った方がかわいいんだから
悩んで難しい顔しないで、笑って?」

「は、はいっ!」

爽子は憧れの眼差しで健人を見た。
その視線を受けて健人は困ったような顔をした。

《ホント、俺はお人好しだなー
爽子ちゃんの幸せにちゃんと笑って〝おめでとう〟って言える自信ないな…
なのに、背中押しちゃったよ》

「本当にありがとうございました。
師匠のおかげでちゃんと自分の気持ち伝えられそうです」

一礼して爽子は歩きだそうとした。


「爽子ちゃん…………」


急に、健人にそう呼ばれた。
さっきまで貞子ちゃんって愛称で呼んでたのに、、

「師匠?」

「お礼に…、」

健人は小さく呟いた。

「…お礼に……?
あっ、お礼! 私、嬉しくてすっかり忘れてた。
図々しくてすみませんっ!
いつか、絶対恩返しします」

「貞子ちゃん」

「はい?」

「お礼に、本命の人とおんなじチョコちょうだいよ…?」

「師匠に私が…?」

健人は静かに頷いた。

《ごめん、爽子ちゃん。
わがままはこれで最後にするよ。
だから、最後のわがまま
本命の人――風早とおんなじチョコをちょうだい》

「じゃあ、お礼はバレンタインの日のチョコということで」

あまりにも健人の目が悲しい色をしているから
爽子は健人のお願いを断れそうになかった。

もう一度、一礼をして
健人の前から去ってった。

その背中を寂しそうな目で見ながら

《風早、爽子ちゃんをフったら許さないからな…!
爽子ちゃんは風早しか見てないんだ。
誰も風早のかわりにはなれない……》

と健人が思ったのを爽子は知るよしもなかった。


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おぉー。
なんか見入ってしまいました・・・。
やっぱケントは手助け側になりますよねー。
矛盾しつつも爽子を助けるケントが健気に思えてきます(笑)


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