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ベリータイムにメロロン☆3

いつもギリギリまで寝てるのに、今日ははやく目が覚めた。
きっと今日が特別な日だからだと思う。








今日行われる親睦会は、俺の国で行われる。
毎回ローテーションで開催される国がかわる中、俺の国の番となったわけだが…
内心、すげーたのしみだった。
こないだストロベリー王国でお茶会をした時、彼女は来てくれると言ってくれた。
だから招待状を送ったんだ。
彼女が来てくれる、それだけでもうワクワクしっぱなしだった。

そして…
その時間が、きた。






予定された広間には、長方形のテーブルがあり、俺はそのテーブルの一番先、みんなを見渡せる位置に座る。

「あ、龍も座れよ」

いつも傍に居てくれる神官の龍。
声をかけると相変わらず表情は変えないんだけど…

「いいのか?」
「当たり前じゃん!何言ってんだよ」
「…ん。」

ふっ、と柔らかく笑ったと思うと、龍は俺の右隣に腰掛けた。
その間に使用人の人たちがたくさんの食事をテーブルに並べてくれる。
メロンを使用したデザートの、タルトやゼリー、シャーベット等は当然として、
肉料理やご飯モノも並べられる。
ありがとう、と礼を言っていると部屋の扉が開かれた。
俺は弾けた様に反応し、視線を向けたんだけど…


「あら、残念?」

そこには相変わらず色気のある服装のあやねがいて。
高鳴る胸の理由である人物ではなかったからか、自然と俺は肩を落としてしまった。
それを見透かされたのか、あやねの意味深な台詞やその目に、何だか恥ずかしい様な出鼻を挫かれた感が凄いあって、
俺は目線を下にずらした。

「な、何だよ」
「あんた…今期待したでしょー」
「なっ!!」
「ふふっやっぱり図星の様ねっ」
「っ…」

まるで自分の感情が相手の掌の上で転がされている様な感覚。赤くなる顔は治まれって思っても言うことを聞いてくれそうにない。
それ以上何も言わないでおこう、と決めると
俺は再び扉へと意識を向けた。
すると耳に届く廊下を歩く足音。
ハッとすると、“ガチャ”とドアノブが動いた。

「!!」

俺は即座に顔をあげた。

「わっりー、遅れた?」
「こ、こんにちわ…」

やってきたのは確かに待ち望んでいた爽子なのだが。
どうやら林檎王国のちづもきたらしい。

「いや、遅れてはない」

龍がちづにそう言ってる中で、俺と黒沼の視線がぶつかった。

「あ!え、っと…こ、この度はお招き頂き、ありがとうございますっっ」

女性ならではの、スカートの布を掴んだ綺麗なお辞儀での挨拶。
あやねもちづもこんな挨拶をした事がないからか、久方ぶりの光景に固唾を飲み込む。
目が離せないってこの事なんだな…

いつもとおなじ苺色のドレスかと思ったら、クリーム色の淡いドレスで新鮮味があった。
それでも袖口などの布の端々には苺色のレースがあしらわれていて、
きっと身につけている爽子自身が可愛いから、洋服も引き立ってる。

「いつまで見てんのよ?エロ王子っ」

再び現実に引き戻された。
目を向けるとニヤニヤとしたあやねの顔。
多分俺、今すっげー顔ゆるんでるから… 目から下を手で隠す様に覆った。
あやねは席から離れて爽子やちづの元に行くと、羨ましい事に爽子の腕を組んで自分の隣に座らせる。
あやねとちづの間に爽子が座る状態となり、俺としては色々と奪われた気分だった。
エスコートやら…
勿論隣の座も!!

「ねぇ翔太~、手紙は見たのよね」
「て、手紙って…あ!」

記憶の中から出てきたのは、シーリングスタンプで押された桃の刻印が目印の、爽子経由できた手紙。
内容は…俺にとっては深い傷となった文面だから、忘れようにも忘れられない。
だから記憶の中の箱にしまい込んでたのに…っ

「お、覚えてるよっ」
「でしょうねぇ。だから盛りの犬の隣に座らせらんないわ」
「盛りの…犬?」

意味深な内容の間で首を傾げる爽子。

「翔太くんの所は犬を飼ってるの?」

その上らんらんとした目でそんな事言われたら、何かもう…何も言えないっ!!
俺はテーブルに突っ伏した。

あやねやちづが漏らさまいという様に抑えられた笑い声が聞こえる中で

「…頑張れしょーた」

唯一の味方だけがそう告げてくれた。
彼女と話したい!!
彼女に触れたいのにっ… !!!


長く長く待っていた挙げ句こんな始末だなんて信じられないっ!
ワナワナと震えながらその3人を羨ましく、また恨めしく見ていると


“バンッ”
「ちょっとー!」
「!!」
「何で私が呼ばれてないのー?」

開いた扉からは栗色の髪をした薄ピンクのドレスを纏う他国の王女くるみ…
ではなく

「クルミザワ!!」
「あらウメじゃない」
「その名前で呼ばないでっ」

そう。ウメ・クルミザワ。
plum(梅)kingdamのウメ姫。
その名からnut(木の実)kingdamと間違えられるが

「ちょっと翔太ー!酷いっ。私を仲間外れにするなんてっ」
「え?仲間外れって…だってクルミザワはピクルスの枠内だろ?」
「うっ…!で、でもっ」

そう、pickles。漬け物のグループに所属するのがplumkingdamのウメ・クルミザワだ。
fruit枠内の翔太やあやね、爽子とは違うのだ。
だからお茶会に呼ばれないのも当たり前なのだが…

「そ、そんな事言ったって!私も翔太と話したいんだもんっ」
「んー。困ったなぁ…こういう時どうしたらいんだろ?龍」
「この会は昔から、それこそ俺たちの先祖よりももっと昔から開かれていたものだし、その枠外の者が加わるなんて…例をみないだろ」
「だよなぁ…」
「でも」
「ん?」
「まぁ幸い此処にいるのは俺たちだけだし?
俺たちが目を瞑っていればいんじゃないか?」

王子に問われた神官はそう笑ってみせた。
その返しに、王子も笑う。
そんな2人は一国の王子でもそれを支える神官でもなく…

「…だな!」

青年の様に笑うと、「クルミザワも、座れよ」
「う、うんっ!!」

ウメにそう促し、龍の隣に腰かけた。

(翔太の隣じゃないけど…まぁこれはこれで。)

内心何を考えているかなんて知る由もない周囲から、爽子が名乗りでた。

「え、えっと!!!初めましてストロベリー王国の爽子といいます!!宜しくね、ウメ…ちゃんっ!!!(きゃぁ~~~!ウメちゃんなんて呼んでしまった!!!)」
「こ…こちらこそ宜しく…(う、ウメって…ウメって呼びやがったあいつ…!!!)」

そんなやりとりを見ながらニヤニヤとするのは、あやねとちづだった。

「あ、そうだ!良かったらみんなで…」

思いだした様に爽子が取り出したのは、なんとも美味しそうなイチゴのタルト。

「うわぁ!うっまそー!!!爽子のケーキうまいんだよなー」
「だね!ほら翔太、ナイフナイフっ」
「わ、分かってるよっ!」
「あ、いえいえ!!私がするので…」
「うん、でも手伝わせて」
「では…宜しくお願いしますっ」

イチゴタルトを前に、2人で取り皿をとってナイフで切り込みをいれたものを皿にのせる。

その光景を見ていたあやねやちづはニヤニヤと口元を怪しませながら、それぞれ投げかけた。

「なんだか3うしてるとまるで結婚式のケーキカットみたいね~」
「え!?」
「なっ」

ケーキナイフやケーキを取るための道具を持っている2人は、道具は違えど手元が隠れる斜め下からみると…
ケーキを前にケーキカットを行う様にも見える。

「わ、わわわっ!ケーキカット…!!!」
「お前ら…っ!ぜってーからかってるだろっ」

そう言う2人は目の前にあるイチゴタルトの様に顔をそめあげる。

「あ~ら、そんな事ないけど?」
「でもお似合いだな2人ともーっ」

まぁそんな光景を見ながら、面白くないとボヤく人物も居るわけで…

ウメが離れた席でワナワナと震えているのは隣の龍も気づいていないことなんだけれども。

「だ、駄目だよあやねちゃんっ、ちづちゃんっ」
「え?」
「そんな誤解を作ってしまったら…翔太くんに悪いよっ」
「さ、爽子?」

翔太が驚き、あやねがその名を呼ぶ。
爽子は両手でナイフを持ちながら相変わらず真っ赤な顔をしていた。

「し、翔太くんは本当に善意でしてくれて…今まで国の中でひっそりとしてた私にも声をかけてくれた優しい人なの。
だ、だからっ、そんな誤解…翔太くんに失礼だよっ」
「し、失礼って…」
「翔太…あんた…」

あやねとちづは震えていた。
当の翔太は顔をしていたうなだれて、外野の様子を知りたくない様子だ。
けれど…かけられたのは追い討ちを下す言葉だった。

「ちょ~~~!!かっわいそーーー!!!!」
「ギャハハハハハハっ」

翔太を指差し、笑いを耐えていた2人は何か枷が外れた様に一気に笑いだした。
よくみると翔太の顔も先ほどより赤く赤く染まりきっている。
爽子は何が何だか分からないといった風貌で、ウメはやっぱり面白くなさそうだった。

翔太が爽子に対して抱く恋心はこの場にはもう割れている事。
本人意外に、だが。

だからこそ爽子は益々分けが分からないのだけれども、

「な、何であやねちゃんとちづちゃんは笑ってるの…?」
「うん、もーいいよ」


でもそれも含めて翔太は爽子が好きなのだ。


そんな2人が国と国の和平関係なくお互いを愛し合って結ばれるのは…

また別の話。


20100323



哀れ翔太!
が書きたかった。

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