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18.日直:嬉々さま

【 カップリング 】:
風早X爽子

【 参加希望単語集 】:
18.日直

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日向 夏さま 8.お花(桜/すみれ/スイートピー)

【 カップリング 】:
風早X爽子
龍X千鶴

【 参加希望単語集 】:
8.お花(桜/すみれ/スイートピー)

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ベリータイムにメロロン☆3

いつもギリギリまで寝てるのに、今日ははやく目が覚めた。
きっと今日が特別な日だからだと思う。








今日行われる親睦会は、俺の国で行われる。
毎回ローテーションで開催される国がかわる中、俺の国の番となったわけだが…
内心、すげーたのしみだった。
こないだストロベリー王国でお茶会をした時、彼女は来てくれると言ってくれた。
だから招待状を送ったんだ。
彼女が来てくれる、それだけでもうワクワクしっぱなしだった。

そして…
その時間が、きた。






予定された広間には、長方形のテーブルがあり、俺はそのテーブルの一番先、みんなを見渡せる位置に座る。

「あ、龍も座れよ」

いつも傍に居てくれる神官の龍。
声をかけると相変わらず表情は変えないんだけど…

「いいのか?」
「当たり前じゃん!何言ってんだよ」
「…ん。」

ふっ、と柔らかく笑ったと思うと、龍は俺の右隣に腰掛けた。
その間に使用人の人たちがたくさんの食事をテーブルに並べてくれる。
メロンを使用したデザートの、タルトやゼリー、シャーベット等は当然として、
肉料理やご飯モノも並べられる。
ありがとう、と礼を言っていると部屋の扉が開かれた。
俺は弾けた様に反応し、視線を向けたんだけど…


「あら、残念?」

そこには相変わらず色気のある服装のあやねがいて。
高鳴る胸の理由である人物ではなかったからか、自然と俺は肩を落としてしまった。
それを見透かされたのか、あやねの意味深な台詞やその目に、何だか恥ずかしい様な出鼻を挫かれた感が凄いあって、
俺は目線を下にずらした。

「な、何だよ」
「あんた…今期待したでしょー」
「なっ!!」
「ふふっやっぱり図星の様ねっ」
「っ…」

まるで自分の感情が相手の掌の上で転がされている様な感覚。赤くなる顔は治まれって思っても言うことを聞いてくれそうにない。
それ以上何も言わないでおこう、と決めると
俺は再び扉へと意識を向けた。
すると耳に届く廊下を歩く足音。
ハッとすると、“ガチャ”とドアノブが動いた。

「!!」

俺は即座に顔をあげた。

「わっりー、遅れた?」
「こ、こんにちわ…」

やってきたのは確かに待ち望んでいた爽子なのだが。
どうやら林檎王国のちづもきたらしい。

「いや、遅れてはない」

龍がちづにそう言ってる中で、俺と黒沼の視線がぶつかった。

「あ!え、っと…こ、この度はお招き頂き、ありがとうございますっっ」

女性ならではの、スカートの布を掴んだ綺麗なお辞儀での挨拶。
あやねもちづもこんな挨拶をした事がないからか、久方ぶりの光景に固唾を飲み込む。
目が離せないってこの事なんだな…

いつもとおなじ苺色のドレスかと思ったら、クリーム色の淡いドレスで新鮮味があった。
それでも袖口などの布の端々には苺色のレースがあしらわれていて、
きっと身につけている爽子自身が可愛いから、洋服も引き立ってる。

「いつまで見てんのよ?エロ王子っ」

再び現実に引き戻された。
目を向けるとニヤニヤとしたあやねの顔。
多分俺、今すっげー顔ゆるんでるから… 目から下を手で隠す様に覆った。
あやねは席から離れて爽子やちづの元に行くと、羨ましい事に爽子の腕を組んで自分の隣に座らせる。
あやねとちづの間に爽子が座る状態となり、俺としては色々と奪われた気分だった。
エスコートやら…
勿論隣の座も!!

「ねぇ翔太~、手紙は見たのよね」
「て、手紙って…あ!」

記憶の中から出てきたのは、シーリングスタンプで押された桃の刻印が目印の、爽子経由できた手紙。
内容は…俺にとっては深い傷となった文面だから、忘れようにも忘れられない。
だから記憶の中の箱にしまい込んでたのに…っ

「お、覚えてるよっ」
「でしょうねぇ。だから盛りの犬の隣に座らせらんないわ」
「盛りの…犬?」

意味深な内容の間で首を傾げる爽子。

「翔太くんの所は犬を飼ってるの?」

その上らんらんとした目でそんな事言われたら、何かもう…何も言えないっ!!
俺はテーブルに突っ伏した。

あやねやちづが漏らさまいという様に抑えられた笑い声が聞こえる中で

「…頑張れしょーた」

唯一の味方だけがそう告げてくれた。
彼女と話したい!!
彼女に触れたいのにっ… !!!


長く長く待っていた挙げ句こんな始末だなんて信じられないっ!
ワナワナと震えながらその3人を羨ましく、また恨めしく見ていると


“バンッ”
「ちょっとー!」
「!!」
「何で私が呼ばれてないのー?」

開いた扉からは栗色の髪をした薄ピンクのドレスを纏う他国の王女くるみ…
ではなく

「クルミザワ!!」
「あらウメじゃない」
「その名前で呼ばないでっ」

そう。ウメ・クルミザワ。
plum(梅)kingdamのウメ姫。
その名からnut(木の実)kingdamと間違えられるが

「ちょっと翔太ー!酷いっ。私を仲間外れにするなんてっ」
「え?仲間外れって…だってクルミザワはピクルスの枠内だろ?」
「うっ…!で、でもっ」

そう、pickles。漬け物のグループに所属するのがplumkingdamのウメ・クルミザワだ。
fruit枠内の翔太やあやね、爽子とは違うのだ。
だからお茶会に呼ばれないのも当たり前なのだが…

「そ、そんな事言ったって!私も翔太と話したいんだもんっ」
「んー。困ったなぁ…こういう時どうしたらいんだろ?龍」
「この会は昔から、それこそ俺たちの先祖よりももっと昔から開かれていたものだし、その枠外の者が加わるなんて…例をみないだろ」
「だよなぁ…」
「でも」
「ん?」
「まぁ幸い此処にいるのは俺たちだけだし?
俺たちが目を瞑っていればいんじゃないか?」

王子に問われた神官はそう笑ってみせた。
その返しに、王子も笑う。
そんな2人は一国の王子でもそれを支える神官でもなく…

「…だな!」

青年の様に笑うと、「クルミザワも、座れよ」
「う、うんっ!!」

ウメにそう促し、龍の隣に腰かけた。

(翔太の隣じゃないけど…まぁこれはこれで。)

内心何を考えているかなんて知る由もない周囲から、爽子が名乗りでた。

「え、えっと!!!初めましてストロベリー王国の爽子といいます!!宜しくね、ウメ…ちゃんっ!!!(きゃぁ~~~!ウメちゃんなんて呼んでしまった!!!)」
「こ…こちらこそ宜しく…(う、ウメって…ウメって呼びやがったあいつ…!!!)」

そんなやりとりを見ながらニヤニヤとするのは、あやねとちづだった。

「あ、そうだ!良かったらみんなで…」

思いだした様に爽子が取り出したのは、なんとも美味しそうなイチゴのタルト。

「うわぁ!うっまそー!!!爽子のケーキうまいんだよなー」
「だね!ほら翔太、ナイフナイフっ」
「わ、分かってるよっ!」
「あ、いえいえ!!私がするので…」
「うん、でも手伝わせて」
「では…宜しくお願いしますっ」

イチゴタルトを前に、2人で取り皿をとってナイフで切り込みをいれたものを皿にのせる。

その光景を見ていたあやねやちづはニヤニヤと口元を怪しませながら、それぞれ投げかけた。

「なんだか3うしてるとまるで結婚式のケーキカットみたいね~」
「え!?」
「なっ」

ケーキナイフやケーキを取るための道具を持っている2人は、道具は違えど手元が隠れる斜め下からみると…
ケーキを前にケーキカットを行う様にも見える。

「わ、わわわっ!ケーキカット…!!!」
「お前ら…っ!ぜってーからかってるだろっ」

そう言う2人は目の前にあるイチゴタルトの様に顔をそめあげる。

「あ~ら、そんな事ないけど?」
「でもお似合いだな2人ともーっ」

まぁそんな光景を見ながら、面白くないとボヤく人物も居るわけで…

ウメが離れた席でワナワナと震えているのは隣の龍も気づいていないことなんだけれども。

「だ、駄目だよあやねちゃんっ、ちづちゃんっ」
「え?」
「そんな誤解を作ってしまったら…翔太くんに悪いよっ」
「さ、爽子?」

翔太が驚き、あやねがその名を呼ぶ。
爽子は両手でナイフを持ちながら相変わらず真っ赤な顔をしていた。

「し、翔太くんは本当に善意でしてくれて…今まで国の中でひっそりとしてた私にも声をかけてくれた優しい人なの。
だ、だからっ、そんな誤解…翔太くんに失礼だよっ」
「し、失礼って…」
「翔太…あんた…」

あやねとちづは震えていた。
当の翔太は顔をしていたうなだれて、外野の様子を知りたくない様子だ。
けれど…かけられたのは追い討ちを下す言葉だった。

「ちょ~~~!!かっわいそーーー!!!!」
「ギャハハハハハハっ」

翔太を指差し、笑いを耐えていた2人は何か枷が外れた様に一気に笑いだした。
よくみると翔太の顔も先ほどより赤く赤く染まりきっている。
爽子は何が何だか分からないといった風貌で、ウメはやっぱり面白くなさそうだった。

翔太が爽子に対して抱く恋心はこの場にはもう割れている事。
本人意外に、だが。

だからこそ爽子は益々分けが分からないのだけれども、

「な、何であやねちゃんとちづちゃんは笑ってるの…?」
「うん、もーいいよ」


でもそれも含めて翔太は爽子が好きなのだ。


そんな2人が国と国の和平関係なくお互いを愛し合って結ばれるのは…

また別の話。


20100323



哀れ翔太!
が書きたかった。

11.甘粒の苺(栃木産とちおとめのふくよかな甘さと甘酸っぱさが絶妙のかわいいお酒♪)

ココの続きかな。






付き合い始めて4年以上がたった。
彼女と過ごした年月は長いんだけど…
4年以上経った今だからこそ分かってきた事がある。




【甘粒の苺】




高校を卒業して、1人暮らしを始めた俺の家は1DKの佇まいで、男1人が住むには充分の住居スペース。
そこにたまに黒沼がきてくれて、黒沼の作る舌が肥えそうな料理に感動し、黒沼の時間が許す限り日々の出来事を話したりテレビを見たりして時間を過ごす。

そしてたまに…思いがけないサプライズもあるわけで。


「あ、えっと…」

いつも持ってきてくれるご飯の材料と…それよりも大きな鞄を両手に黒沼が来るときが、そのサイン。

「え!?も、もしかして…」
「う、うん。そうなの。風早くん明日大学が休みって聞いたから…い、いいかなっ」

頬だけじゃなく耳まで朱色に染める彼女に、何故NOと言えようか。

「も、勿論に決まってんじゃん!!!」

大きい荷物は俺が預かって、黒沼を家に入れた。

黒沼の親、とくにお父さんは凄く黒沼の事を大事にしている。
だから女友達とのお泊まり以外の外泊は禁止されていて、
彼氏である俺なんて以ての外だった。
ただ、半年に何回か黒沼のお父さんが仕事の関係で道外へ出張する事があり、
俺と黒沼との交際を大プッシュしてくれている黒沼のお母さんはそういう時だけ
「お父さんに内緒の外泊」
を取り付けてくれる。

多分…いや、きっと。
俺バレたら黒沼と会わせて貰えなくなるかもしれないんだけど。
そんな事よりも黒沼と一緒に居られると言う欲のが勝(まさ)ったんだ。
当然だけど…目先の宝(黒沼)には見て見ぬ振りなんてできない。
だから黒沼のお母さんの好意に甘えさせてもらい、こうして黒沼は
「お父さんに内緒の外泊」
に来てくれる。
いつの間にか洗面台に増えた色違いの歯ブラシ。

トイレに設置された女性の為の汚物入れ。

箸や、食器、コップ等…
お揃いのモノが増えていく。

些細な事かもしれないけど、黒沼という“印”が増えていくみたいで嬉しくなる自分がいた。
荷物を探り、オレンジ色のチェック柄なエプロンを取り出すと髪を二つに括る。
これが黒沼の料理スタイル。

「風早くんお腹空いたよねっ。直ぐ何か作るね」
「マジで?やったぁ。俺黒沼の作る料理好きっ」
「本当?そ、それは嬉しいなぁ…じゃぁ張り切って作るねっ」

材料を冷蔵庫に入れて、中に予め入ってるモノも見ながら暫く睨めっこした後、手にいくつかの食材を持ち、黒沼は調理に取りかかる。
俺はその間ランチョンマットや箸、箸置きを並べて少しでも手助けをするんだけど…
キッチンに寄った際、二つに括った髪が表す首もとに目がいった。
幸い食材を切り終えて、フライパンで炒めてるもんだから…

悪戯心に火が付いた。
後ろから黒沼の腰へ、思い切り抱きしめる。

「ひょーっ!!」

ははっ。
予想通り驚いた!
かわいーなぁもう。
そのまま彼女の首もとに唇を寄せた。

「ひゃぁああ!」
体を捩っての反応が本当に可愛い。可愛くてたまらない。

だから病み付きになってしまうんだ。

「か…風早くんっ!!」

コンロの火を止めて、こっちを睨んでくる黒沼は目に雫を溜めて涙目だ。
こうなってしまってはもう手が出せない。

「ごめんごめん。黒沼があまりにも可愛いから」
「か、可愛いだなんて…」
「んーん。黒沼は可愛い。すっごく」

腰に腕を回して、肩に顔を載せると忽ち香るのは彼女が放つ匂い。
肺いっぱいに吸い込んで、本当はまだまだ足りないんだけど

「続きは…また後で、な」

俺はそう耳元で囁く様に言い、そこから離れた。

顔をチークを塗ったみたく染め上げた黒沼は、もう昔みたいな意味が分からないといった様な対応じゃない。
意味を理解しているからこそ
「あ、あああ後で…っ!?」
と、真っ赤になって呟いてくれる。
今は我慢しようとひとまず俺はキッチンから離れた。



暫くすると様々な料理の匂いが立ち込める。
一人暮らしの男の家からは到底作れそうにない香りに、食欲がどんどん湧いてきた。
やがて爽子が料理を運んできてくれて、俺は再びキッチンにいって炊飯器からご飯をよそう。

「ありがとう」
「これ位しかできないから」

そうして2人での食事。
美味しいご飯は何処ぞのレストランよりも格別で、また視覚から得られるのは可愛い可愛い俺の彼女。
幸せで幸せで、そんな時間に限ってあっという間に過ぎていくんだから。
本当楽しい時間ってかけがえの無いものなんだなって実感する。
食事が終わった後皿洗いは俺の仕事。
爽子の綺麗な手を洗剤等で荒れさせる訳にはいかない。
率先して洗って、
その後にやってくる一時が凄い好きだったりする。
ワンルームの部屋に置かれたのは、テレビとテーブルと、ソファーベット。
ソファーとベット両方置くと流石に狭くなるからソファーベットにした。
そこで寛ぎながらテレビを見て、爽子を抱いて微睡むのが好きな時間の過ごし方なんだけど…食後の腹が落ち着いた頃、俺は忘れる所だった、とある事を思い出した。
黒沼を一人ソファーベットに残し冷蔵庫から取り出したのは
苺の色そのままを表した真っ赤な色をした瓶に入っているお酒だった。
いつしかお店で見た時、可愛らしいデザインに惹かれて「これなら黒沼も飲めるかな」と思い買っておいた。
幸い黒沼は今日泊まってくし、明日は日曜日な為学校もない。
なら今日しかないだろう、と取り出す。

「風早くん…それ、お酒?」
「うんそう。でもアルコール12度だし、軽めのお酒だから黒沼も飲めると思って」

神社で配布される甘酒が飲めるから、強めじゃなければお酒が飲めると知った。
折角二十歳を過ぎたんだし、大人な楽しみ方を知らなければ損だとも思う。

「軽めなら…うん。大丈夫かも。飲んでみたいな…」
「良かった!」

すぐさま2人分のグラスを用意する。
果汁も10%あって甘めな方だろう。
注ぐとスパークリングである炭酸はグラスの中で綺麗な色のまま可愛らしい泡の粒を液体いっぱいにひろがせる。

「はい、どうぞ」
「ありがとう」

2人でソファに腰掛け、グラスをコツン、と重ねて口にした。
「…美味しいっ」
「うん、飲みやすい」

パッケージには“本格麦焼酎使用”とは書かれているが、ほんのり香る苺がそんな癖を気にさせない。
俺たちはその旨さに病み付きになったように、直ぐにグラスを空にさせると再び酒を継ぎ足していった。
途中、俺はお酒を普通の芋焼酎に変え、甘粒のいちごをこくこくと飲む黒沼の隣で同じ様に喉を鳴らしていた。
そして酒のつまみにと、薄く切ったチーズを口にする。
何か別の味を含む事で、お酒って不思議と進むんだ。
どうやら黒沼もそうみたいで…
逆に俺の中では、ソレが狙いだったりした。
お酒を飲んで暫くして、顔の色を赤くする黒沼。
その様子を見ながら「大丈夫?」と訪ねると、彼女は心配かけさせない為か「うん、大丈夫」なんて言う。

けれど―――――

まるで湯上がり時を思わせる様な顔色に、睫毛が微妙に伏せられた瞳は。
なんとも見捨てがたい光景でもあった。

本当は今すぐにでも貪りたいんだけど、今は駄目だまだ待てと自分に言いつけて、
再びお酒を口にする黒沼を見た。
やがて空になる赤い瓶。
しかしいつからかアルコールを欲しだした黒沼は、俺が飲み続けていた瓶にも目を付け出した。

「風早くんのも…頂いて…いい、かなぁ」

ぽつりぽつりとなんとか言葉を紡いでく。

「うん、いいよ」

そして俺は飲みやすいようにと芋焼酎を烏龍茶で割ってグラスを渡した。
その時に焼酎の量を少し増やしたんだけど…
変わらず飲む姿を見るとどうやら気付いてないらしかった。

再び構わず飲み続けていくと

「…!」

肩に、微かな重み。
そちらを見るとどうやら黒沼の頭が俺の肩を支えに乗っかってきた事が分かった。
まだ飲料が残ってるグラスはそのままだから、零しては危ないと思いグラスは取り上げる。

「…黒沼?」
「……はい。」

遅い返事。
彼女の思考回路が停滞寸前な事を知らせる。

「眠い?」
「…ううん…眠く、ない…よ」
ぎゅ、と腕のシャツを掴まれた。
そのままこちらを見る黒沼に、視線を合わせると…


―――――う、わっ!!!



そこには、熱をもったままの表情で、色香を漂わせた黒沼の姿。
同時に俺は心の中でガッツポーズを決めた。
以前黒沼が少しのアルコールを含んだとき、いつもよりも積極的だった事がある。
それでも体を寄せてきたりな程度だが…
いつもの黒沼からは考えられない事だった。
じゃぁもっとアルコールを含ませたらどうなるんだろう?

膨らんだ好奇心はそうそう収まらず、気づいたらこうしてお酒を購入していた。
もしかしたら途中で寝入ってしまうと言う考えもあったけど幸いそれはならなかったし。
まぁ俺の酒まで飲むとは思わなかったけど…

でも、今確かにいつもとは違う黒沼が、そこにいる。


「風早くん…」
「ん。なぁに?」
「…ぎゅっ、て…して?」




う、うわぁあああああ!!!
なんって可愛いんだ俺の黒沼はっ!!!

首を傾げて、そんなとろーんとした可愛らしい顔でっ!!!
そんなにもいいお願いされたらもうご褒美としか思えない!!!

直ぐ様飛びつく様に黒沼に抱きつくと、サラサラな髪の毛が鼻先をくすぐる。
同時に香ってくる匂いは、何度嗅いでも飽きない匂いだ。

「…風早くん…もっと…もっと、ぎゅって…して…」

抱きしめてるから耳元に直接かかる甘い声。
頭がクラクラしそうだ…っ

「…こう?」

色んな部分のスイッチが入りそうな中、やっぱり我慢をして、俺は腕に力を入れた。

「…うん」

満足した様に俺の懐に収まりながら背中に回された腕がくすぐったくて、同時に心地よかったりする。

「風早くん…」

再び名前を呼ばれて、黒沼を見た。
すると唇に、予告無しのキスがやってきた。
何かを言おうとしたら

「好き…」
ちゅっ

「大好き…」
ちゅっ

「好き、なの…」
ちゅっ…


沢山の一言と、沢山のキスの繰り返し。
それらは瞬きをする時間すら与えさせてくれない。

「風早くんは…私の事…好き?」
「勿論…誰よりも、好きだよ」
「…うん。嬉しい…」



ぱぁ、っと。
本当に嬉しそうに笑うんだ。
可愛く可愛く笑うんだ。
目が離せなくて貪る様に唇を食べた。
何度も何度も角度を変えて、沢山のキスをする。
でもキスじゃやっぱり足りなくなって、

「はっ…ぁ、んっ」

唇に舌を入れて、アルコールの味がまだ残る口内を思い切り堪能する。
舌先で黒沼の全てを味わいたくて、頭を手で支えながらそれだけに専念した。
もともとふらついてた彼女は流れる様にソファーベットに倒れ込む。
体制を整えて組み敷くと、髪を指で梳きながら唇を貪りつくした。

「はぁ…あっ…ふっ、んっ」
「黒沼…俺、もう止まんないよ?」
「…止まんない…?」
「うん…黒沼を食べたくてずっと我慢してた。…もうウズウズしてるんだ…」
「ウズウズ…してるの…?食べたい…の…?」
「…我慢、できない位に…凄く。」
「じゃぁ…私を、食べてくれますか…?粗末な物ですが」…
「んなわけ…ないじゃんっ!」
「あぁっ」


まだ謙虚な彼女がそこにはいた。
積極的だった癖にそういう所は滞在で、そのギャップに益々拍車がはやまった。

まだお風呂も入っていない体同士は、まるでお花みたく相手を誘うみたく匂いを強く放ち誘い狂わせる様。
アルコールで浸った彼女を目の前に、今度は俺の番。
甘く甘く熟した色っぽい黒沼をこれ以上となく堪能させていただくことにする。


幸い明日は…何もないのだから。




20100325



なんだか豚を食うために肥えさせた、って話だな(爆)

22.かくれんぼ(爽子狩り) はる

大学に入学する前にする事があった。
それは大学が家から遠いから大学から近い場所であるアパートに一人暮らしをする準備。
幸い場所も決まり、引っ越しの手伝いも龍に手伝ってもらって早く済んだ。
後は…食器等日用雑貨を揃えなきゃいけない。



【かくれんぼ】


「ごめんな黒沼、つき合わせて」
「ううん、全然大丈夫だよ」

休日。
黒沼を誘ってのデート。
食器など日用品を買うってのが口実なんだけど。
自分一人で買いに出掛けても何が必要で何を買えばいいのか分からないから、黒沼の力を借りることにした。
まぁ…いつだって一緒にいたいんだけど。

早速向かったのは雑貨等が豊富に取り揃えられたデパート。
様々な種類、年代や性別にも対応できる豊富な品数が揃えられている。
求めているものだけではなく本当に沢山のものがあるから自然と目移りしてしまう。

「食器って色んな形があるんだな」

目の前には色はそれぞれだが、形も丸だったり四角だったり。
丸でも深さがあったり平べったかったり。
本当に沢山だ。

「そうだね。スープ皿や、カレーにも使えるし…これなんてパスタにもいいかも」
「うわ。料理によって違うのな」

いざ目の前にすると自分一人では購入するのにどれだけの時間が掛かってたんだろって思う。
だって俺なら絶対悩んでたから。

「んー。良かったらさ、黒沼が決めてよ」
「え!?わ、私?!」
「うんそう。俺一人じゃぁ分からないし…それに勝手だけど、良かったら遊びに来るとき黒沼にご飯とか作ってほしいし…駄目、かな」

頼みごとというおねだりを口にし、チラリと彼女をみた。
体をびくりと動かして、何だかもじもじとしている。

「わ、私で…いいのかなっ」
「黒沼がいーのっ。てか、黒沼じゃなきゃイヤだ」
「で、では!風早くんの家にお邪魔したときは毎日作るよっ」
「あはは!別に来る度じゃなくていーよ。黒沼が作ってくれるなら、そんな毎回は強制しないよ」
「ううん。私お料理好きだから…だから、風早くんさえ良ければ、作らせてほしいの」

自分は結構強欲だと思う。
確かに食べれるものなら毎日でも黒沼の手料理を口にしたい。
でも…黒沼だってそうそう余裕なんて無いだろうし、疲れてるときもあるだろうから毎回なんて無理だろうなって考えていた。
けれど返ってきたのは予想にもなかった返事。
やっぱりそう返されたら嬉しくて、顔が綻んだ。

「じゃぁ、黒沼が良ければお願いっ」
「うん!喜んで」

握り拳を作って返事をしたあと、2人で見合いながらにこにこと笑む。
いーな。好きだな…こういう時間。
それから黒沼に食器を見て貰う。
その間手持ちブタさなのもあり、キョロキョロと見渡すと箸やフォーク類のコーナーに目が付いた。
足を運ぶと夫婦箸なんていうお揃いのモノが並ぶ。

夫婦…

なんて言葉。
まだ高校卒業したばっかの俺には実感湧かない言葉だけど、どれだけ大切な言葉かぐらいは分かる。

でも、箸のお揃い…
いいかもしんない。


自然と手が伸びて、箸に箸置き、フォークにスプーンと、全てお揃いで手に取っていた。
そして再び先ほどの売り場に戻る。
黒沼がまだ其処にいる、という固定概念があったからなのに…
「…あれ…黒沼?」

そこには誰もいなくて、当たりを見渡してもそれらしき人物はいない。

「黒沼?」

もう一度名前を口にしてみたけど、返事が帰ってこない。


“ドクン”

胸が鳴り、体を揺らす。

落ち着け俺っ。
黒沼がここにいなかっただけじゃないか。
もしかしたら別の売り場に行ったのかもしれない。
ちょっと探せば見つかるに決まってる。

再び黒沼がいないか見渡す。
けれどやっぱり姿は見当たらない。
周辺を歩く事にしたけれど、黒沼がいない場所が増えてくばかりで、探す場所が広がってく。

「…何処、行ったんだろ」

手にある箸とかの商品がなんだか虚しくて、握りしめた。
ぽっかりと心に空いた空虚感が、寂しいなんて感情を生み出す。
こんなの、男らしくない…
しっかりしろ、俺!

そうだ携帯があるじゃないか、とポケットを探った。
携帯電話を取り出し、直ぐ様黒沼の名前を見つけ、通話ボタンを押した。


“プルルルル…”
“♪~♪~”

―――――え?

受話器から聞こえる音と、外からもする着信音。
あれ?って思った瞬間、
「あわわわ!で、電話がっ」
と慌てふためいた声がした。
鼓動が、早くなる。
音のする方を見ると、お皿やらランチョンマットで両手を塞がれ携帯電話を取り出すことが出来なく慌てる黒沼の姿。

「黒沼…」
「あ、風早くん…」

口から零れた名前に、黒沼は直ぐ気づいてくれた。

2つ程棚を超えた先に、彼女はいた。
呆然としていると直ぐにトタトタとやってきて、手にあるそれを見せてくれる。

「あ、あのねっ、お皿を見てたらそれにあうランチョンマットやコップも欲しくなって。
私がお金出すので、買ってもいいかなぁ…」

無邪気な彼女。
少し照れながら、それでいて口元は笑ってる。
無邪気すぎて…
きっと俺がどんな気持ちだったか知る術すらない、彼女。

「あ…」

両手を塞ぐお皿を、変わりに持つ。
空いた彼女の手。
俺は受け取ったものを片手にもちながら、もう片方の手で黒沼を抱き寄せた。

「か、か…風早、くんっ!?」
驚く黒沼。
けれど暴れたり抜け出したりできないのは、ギリギリの状態でガラス商品を持ってるからだろう。
それをいい事に、俺は抱き寄せたままその手の力を緩めない。
「…なに?」
「あ、えっと…店員さんにも見られるし…は、恥ずかしいのですが…」
「うん…そう。」
「えっ?ええっ?」

俺は頷くだけ。
だからか、黒沼はどうしたらいいかわからず顔を真っ赤にしながらされるがままだった。

「…ごめん。ちょっと…抱きしめたくなって」
「う、ううんっ!」

体を離してみるけど、やっぱり離れがたいのは黒沼が好きだからなのと、其れほどに寂しかったから。
一種の欠乏症みたいで、こんなにも黒沼を欲していたんだと知る。
ただ抱きしめたら、今までカラカラだった喉に潤いがきた様で、余裕を取り戻せた。


俺…こんなにも黒沼が好きだったんだな。


「いいよ、それ。全部買おっか。お金は親から軍資金もらってるから気にしないでよ」
「で、でもっ」
「俺の買い物なんだからいーの。それにつき合わせちゃったんだし」
「そ、そんなつき合わせただなんてっ。風早くんと一緒に居れたから…いいのっ」

―――――うわっ!!!

もうどうしてくれようかこの天然で可愛すぎる俺だけの彼女!!!

幸せそうに笑う、偽りのない表情。
俺を夢中にさせてならない一つ一つの言動。
クラクラして頭が酔いしれそうだ。


「もうっ…黒沼、可愛すぎ…」
「え、えぇ!?かかか可愛いだなんて!わ、私がっ!?」
「なーに?俺が嘘つくとでも言うの?」
「け、決してそう言う意味ではっ!!で、でも私なんかが烏滸がましいといいますかっ」
「あーもうっ。そんな可愛いすぎるからさっきみたいに抱きしめたくなっちゃうんでしょっ」
「え?えぇえっ??!!!」



ほんっとーに、鈍い。
でもそこが可愛いから、ついつい苛めたくなってしまう。
慌てふためく彼女をみながら、今日の収穫である品物が入った袋の重みを確かめる。
これ以上黒沼を歩かせるわけにもいかなくって、買い物は以上にするかな、って思った俺に
追い討ちをかける様に耳打ちされたのは

「あ、あのね…さっきは人前で抱きしめられて恥ずかしかったのだけれど、い、家でなら…い、いいよっ」


もう我慢できなくって!!!!




このあと直ぐにソファーベットも購入した。








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ワンちゃんな風早。
さみしかったらやっぱり爽子欠乏症でさみしくなっちゃうのかな、と思って。
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